「黄色い部屋の秘密」ガストン・ルルー(著)


19世紀の終わりから20世紀初頭の推理小説と言えば

イギリスにエドガー・アラン・ポーとコナン・ドイルあり、

フランスにモーリス・ルブランとガストン・ルルーありの時代。

モーリス・ルブランはあの有名なアルセーヌ・ルパンの生みの親、

そしてもう一人のガストン・ルルーの有名な作品で「オペラ座の怪人」と並ぶ

作者の大ヒット作がこの「黄色い部屋の秘密」だ。

発表されたのは1907年なのでかなり古い。

それ以前では密室ものと言えど、ここまで「完全なる密室」を打ち出した作品はなく、

当時推理小説の中では一世を風靡したのだった。

最新の科学技術の研究にいそしむ科学者スタンガーソン博士とその右腕を務める娘のマチルド嬢は

仕事に没頭するため、奥まった森の中の城の離れに研究室を構えて忙しい日々を送っていた。

ある晩、離れの研究室の隣にあるマチルド嬢の自室「黄色い部屋」から

「人殺し!人殺し!助けて!」と叫ぶマチルド嬢の声が響く。

慌てて父親のスタンガーソン博士と老僕ジャック爺さんが部屋の前に駆けつけるも、

扉の鍵はマチルド嬢が内側から二重に掛けていて開かない。

そうこうしているうちに今度は銃声と激しく揉みあう音がしてくる!

ジャック爺さんが部屋の窓に回ってみても鉄格子と鎧戸がきっちり閉められていて入られない。

騒ぎを聞きつけ合流してきた管理人夫婦と一緒に扉を打ち破ると

そこには被害者のマチルド嬢が床に倒れているだけで

隠れる場所もない狭い部屋には犯人の姿はなく、

銃弾を受けて怪我をしたと思わしき、血のついた大きな男の手形が壁に….

他に部屋に入られる箇所はなく、部屋に暖炉も付いていない。

それでは犯人はどこから入ってどこから消えたのか?

この謎に挑むのは若き新聞記者のルールタビーユ(これはあだ名で「ビー玉転がし」)。

親友の弁護士サンクレールを伴い城に駆け付けたルールタビーユは

サンクレールの友人でマチルド嬢の婚約者のロベール・ダルザック氏に頼み、

現場となった「黄色い部屋」を見せてもらうがどこからどう見ても密室。

それを見てルールタビーユは気にするどころか納得した様子で….

この作品が好きかどうかはルールタビーユの性格の若さが癪に障るか気にならないかに左右されると思う。

それでも密室ミステリーの元祖としてこの作品は欠かせないので

一からミステリーを読みたい人はここから始めるのが良いと思う。

序盤にポーの「まだら紐」のネタバレがあるので注意。

「黄色い部屋の秘密」はルールタビーユが主人公のシリーズもので

次作「黒い貴婦人の香り」も負けず劣らずの作品なのでぜひ。

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