「地獄番 鬼蜘蛛日誌」斎樹真琴(著)


これは閻魔大王に鬼蜘蛛に姿を変えられ地獄の番をする羽目になった

元女郎の女が閻魔に向けて書いた日誌という形で語られている。

同じく女郎だった母親に売られ、一時花魁にまで上り詰めるも夜鷹にまで落ちていき、

一人寒空の下で行き倒れて凍死したはずが、気づけば三途の川。

鬼蜘蛛になって任命された仕事は地獄の見回り、鬼たちの御用聞きと日誌をつけること。

周りは当然ながら地獄絵図….のはずなのだが

身の毛もよだつ描写一辺倒なわけでもなく担々としていて清々しいほど。

鬼たちも、その鬼たちにアートの材料のごとく扱われる亡者たちも

自分達のやりたいことに没頭しているだけのようである。

唯一朗らかなのが閻魔大王ご本人….

罵り罵られ、暴力を振い振われ、延々と恨みつらみが続くかと思いきや、

あれだけ他者を呪う感情しか表に出さなかった鬼蜘蛛が

地獄の天井に穴を見つけてから徐々に変わっていく。

辛酸を舐めつくした元女郎が今まで関心も持たなかった地獄の魑魅魍魎達のために

一体どこまでするのだろう?と見守っていたら….これ以上は言うまい。

現代版・蜘蛛の糸と言われている小説だが、

初作品にしてこの力量は只事ではない….

この作家、今後も要チェックである。

地獄の話なので当然気が滅入る描写ばかりなのだけれど

岩井志麻子ほどの底抜けの救いようの無さとも違って

ちゃんと地獄にいるそれぞれがもとはと言えば人間だった事が透けて見える。

許すとは、真の救済とは何なのか?

あまり後味の良い一冊とは言えないが、あえて押したい一冊だ。

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地獄番 鬼蜘蛛日誌 (講談社文庫)

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