「ウージェニー・グランデ」バルザック (著)


今回紹介するのはフランス文学界でフロベールが自然派を確立する前の時代、

初めて多作な人気作家として有名になったオノレ・ド・バルザックの作品。

貴族にしか付かない「ド」なんぞを本人は気取ってつけているが庶民の出である。

舞台はだいぶ田舎のしょぼくれた町、ソーミュール。

樽屋から一代で財を成したフェリックス・グランデは

財産があるにも関わらず、底抜けの守銭奴ぶりから家計を切り詰め

まるで明日にでも無一文になってしまうかも知れないかのように装い、

妻と一人娘のウージェニー、下女のナノンに極貧生活を強いていた。

年頃もちょっと過ぎそうなウージェニーは内気で地味なパッとしない娘。

それでも町一番の資産家の娘なので持参金の額は相当大きかろうと

花婿候補をどうにかねじ込みたい銀行家の一族と公証人の一族が熾烈なバトルを繰り広げているところに

パリからグランデ爺さんの甥っ子のシャルルが訪ねてくる。

閉鎖的であか抜けない片田舎にすこぶるダンディな若い男がやってきたのだから、

田舎娘で恋愛経験ゼロのウージェニーはイチコロ。

だがシャルルは父親が借金を抱えて破産寸前で自殺したため無一文。

それを知ったグランデ爺さんはにべもなく甥を冷たくあしらう。

見るに見かねてウージェニーとその母はシャルルの世話を焼くがそれもグランデ爺さんの気にくわない。

一旗揚げるべくインドへと向かうシャルルにウージェニーは父から貰ったなけなしの金貨まであげてしまう。

双方涙にくれる別れのあと、ウージェニーはひたすら待つ。

ずーーーーっと待つんである。

遠距離恋愛にありがちな展開だがこの時代、携帯もなければメールもない。

ドケチな父に虐げられながら結婚を約束したシャルルが帰ってくるのを待つ。

完全な行き遅れモード全開….

奥手な娘を持つ親御さんなら他人事ではなかろう。

この場合、故意に行き遅れにしているのは父親だが。

もっと行動しろよ!と揺さぶりたいのは山々だけれど、

アルバイトでもして収入を得る手立てもない当人が一銭も自由に出来ない家庭に生まれると

そりゃ一切何の行動も起こせずにじっとしてるしかない。

やっぱり先立つものは金だよな、と思った次第である。

日本ではあまり認知されていない作品ではあるが

フランスでは中学校で必ず課題図書として授業で取り上げられる一冊なので是非読んでみてほしい。

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