「深夜プラス1」ギャビン・ライアル(著)


どのジャンルにおいても必ず避けて通れない一冊というものがある。

冒険小説にとってのそれがこのギャビン・ライアルの「深夜プラス1」だ。

主人公は戦時中フランスでレジスタンスに加わっていたイギリス人の男、ルイス・ケイン。

彼は戦後用心棒兼運転手として仕事を請け負う暮らしをしていた。

ある日カフェで彼を戦時中のコードネーム「キャントン」の名で呼び出す電話が掛る。

昔の仲間から依頼されたのは一見シンプルな依頼で、

有りもしない容疑でフランス政府から指名手配を受けている実業家を

フランスのブロターニュの沖合からヨットでやってきたところを拾い、

車で早急にリヒテンシュタインまで送り届けて欲しいという。

依頼人の弁護士にこの仕事の相棒としてガンマンも雇うが

リクエストがあれば手配すると言われてキャントンが指名したのはハーヴィー・ラヴェル。

簡単に思えた依頼だったが移動に使う手筈の車にはそこまで届けに来たとおぼしき男の死体。

のっけから易々とは事が運びそうな気がしない。

しかもヨットから降りてくるのは実業家だけだと思ったら

想定外の秘書ミス・ジャーマンがおまけに付いてきた。

舞台は戦後十年ほど経ったフランス。

もちろんカーナビも携帯電話もシェンゲン条約もない。

紙媒体のミシュラン・ガイドを片手にフランスの下道を行き、

追跡するのにドローンを使えない時代ならではの冒険活劇とも言えよう。

アルコール依存症のガンマンと馬鹿みたいにデカい銃を愛用する運転手は

依頼人がリヒテンシュタインにたどり着くのを阻止するべく

次々と襲ってくる敵を躱しながらフランス警察の目をかいくぐることは出来るのか?

流石にこれを読まずして読書家をかたるなかれと言われる名作ではある。

主人公達のコンビもハードボイルドにありがちな、いわゆる自己陶酔型の鼻につくタイプではない。

オジサン臭い小説はあまり食指が動かない方にも安心してお薦めできる、

エンターテイメントとしても上出来な一冊だ。

個人的な意見としてはフランスの地方を主人公らと一緒に旅することが出来るのが嬉しかった。

作者のギャビン・ライアルは作品で使う手をひとつひとつ

実際に実現可能なものなのか自ら実験していたともあって

リアリティに長けたスパイ小説なども手掛けているので是非そちらもお試し頂きたい。

深夜プラス1〔新訳版〕 [ ギャビン・ライアル ]

価格:1,101円
(2017/5/9 23:42時点)
感想(1件)

深夜プラス1〔新訳版〕【電子書籍】[ ギャビン ライアル ]

価格:994円
(2017/5/9 23:43時点)
感想(0件)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村


小説(読書感想) ブログランキングへ