小学校に上がった時、フランス人の母は私が日本の学校の制服を着るのを嫌った。

母曰く、あんなヒラヒラしてしまうスカートなんて思いっきり遊べないし不便極まりない。

大体大して理由もないのに皆同じ服装だなんて薄気味悪い。

確かにフランスでは制服を着ているのは修道女とキャビンアテンダントくらいなもので

刑務所の受刑者でさえ私服なのだから奇妙な風習に見えただろう。

しかし母は重要な点を見逃していたのだ。

日本人は規律を守るために制服を着るのではなく、心底制服が好きなのだと。

それは酒井順子氏の「着ればわかる!」などの著書を見ればわかるだろう。

制服が可愛い学校を選ぶ女子高生しかり、

バイトだって制服がかっこいい所で働きたいと思う人は山ほどいるはずだ。

そこでこのタイトル、「コスプレ なぜ日本人は制服が好きなのか」だ。

著者が言いたいのは日本人の制服に対する愛はもはやコスチューム”プレイ”の域だということ。

スチュワーデス(あえてこの表記になっている)の制服のイメージ戦略がなかったら

この仕事はここまで人気を集めただろうか?

スチュワーデス、看護師、学生服….

本書では機能性よりも見た目を重視することも多々ある制服が

どのようにしてこの形になったのかという点から各制服の変容や

流行と価格のせめぎ合いまで追っていくのだが

ベテランの方は機能性優先でパンツスタイルの導入を希望するなか

若手のほうこそ従来のスカートに固執する傾向などを見ると

「この制服が着たいから頑張って目指す」流れは確実に存在するのだと実感する。

学校の制服を着てみたいとは口が裂けても言えない家庭環境もあったが

一度たりとも制服を着たことも、着たいと思ったことも無い私には凄く不思議な世界だ。

制服への愛が止まらない人達(主に酒井順子氏だが)を見るにつけ

「好き」を貫くための服っていうのも良いかもしれないと思えてくる。

だが皆が憧れる素敵な制服といった側面ばかりではない。

制服は毎日何を着るか自分で決めなくていいから着る、消極的な理由だ。

母は日本の、型にはめようとしだすと重箱の隅を突くような粘着質な思考停止力を嫌ったのかも知れない。

最近は小学生の制服にGPS機能が搭載されているものもあると聞くと空恐ろしい気がする。

結局は好きで着る自由も嫌って着ない自由もある社会が一番なのだろう。

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