ドミノ 恩田陸著
恩田陸の著書「ドミノ」を紹介しよう。
この著者は割と読みやすい作風だが幻想的なストーリーを書くときは
ちょっと収集がついていないもやっとしたまま終わったりする癖があって好き嫌いのわかれる作家だと思う。
今回はそういった要素は皆無のコメディ。
最初のページに登場人物の数が27名と1匹とある。
登場人物が無駄に多すぎると訳がわからなくなってしまいそう…
それが大半の人の感想だろう。
だがこの一冊に限ってそんな杞憂はまったく不要だ。
物語は個性的な登場人物達が各グループごとにそれぞれの事情を抱えて
否応なしに同じ場所、東京駅へと吸い寄せられていく。
あの時、その場所に居なかったら。
あともう一本早やく電車に乗っていたら、人生変わってたかも?
そんな風に思うことは誰にでもある。
しかし、そんなちょっとしたターニングポイントを
27名+1もが同じ場所で迎えると大爆笑の傑作ドミノ倒しの出来上がりだ。
元レディースの総長を先輩に持つ丸の内OLが差し入れのスイーツを買いに、
ライバルのママに下剤を盛られたオーディション帰りの子役が立ち寄り、
過激派のテロ集団が爆弾を持って、
引退した警察官が俳句サークルのオフ会の待ち合わせ…
それぞれが多少なりとも切羽詰った事情を抱えて東京駅という巨大ラビリンスに集まってくる。
この場所を物語の舞台に選んだのは正解だったと思う。
見ず知らずの他人が28名も同じ場所に偶然居合わせて
ひとつのストーリーを構成するには田舎の無人駅では無理だ。
絶対に、とは言わないがそこそこの広さがあり、膨大な人が行き交い
慣れていないと確実に迷う。そしてどんな人が利用したって不思議じゃない場所。
それが東京駅。
一匹、がどんな動物かは読んでのお楽しみだ。
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