「君について行こう」 向井万起男(著)
私が子供の頃、宇宙飛行士と言えば向井千秋さんだった。
向井さんが搭乗する時の映像を今も覚えている。
今回は向井千秋さんご本人ではなく、
夫である向井万起男さんが書いたエッセイ「君について行こう」を紹介したい。
この本だけで宇宙飛行士がどんな事をやっているのかが
解りやすく説明されてるだけでも感動ものだけれど、
なにが一番凄いってこの夫婦のあり方だろう。
お二人はどちらとも元はと言えば医師である。
余談だが石原裕次郎の心臓手術の執刀医だったことはびっくりした。
しかもさっぱり芸能には疎い千秋さんは「ふ~ん?有名な人なんだ?」って反応だったらしい。
千秋さんらしいと言えばそうかもしれない、と納得してしまうほど
万起男さんが我々に語ってくれる向井千秋像は変わっている。
そもそも子供の頃から秀才だった彼女。
幼い頃、事情あって親戚に預けざるをえなかった千秋さんをお母様は特別溺愛した。
それもあってか伸び伸びと育った反面、いつだって一人でも大丈夫なように生きてきた様な雰囲気がある。
医師を目指すのも十分凄いけれど、千秋さんはそのさらに先を目指した。
選考に入れるのは一人だけ。実は万起男さんも内心応募する気でいたのだが、
千秋さんが宇宙飛行士になりたいと聞き、身を引くのだ。
元々大親友だった二人は結婚する。
そして着々と宇宙飛行の訓練をこなす千秋さんを万起男さんは心の底から応援する。
夫婦だから当然、なんて所詮綺麗事。普通の男性には絶対出来ない。
何一つ妻に対して卑屈な想いを抱くことのない男、マキオちゃん。さすが向井千秋の選んだ夫。
ハズバンド・オブ・ザ・ワールド賞でもあったら送りたい。
かと言って完璧なわけでもない。家事は一切千秋さんにまかせっきりだ。
厳しい訓練と選考の結果、無事に千秋さんは宇宙飛行士に選ばれた。
そしてNASAは言う。「もし何かあった時のために家族に連絡するが、その相手はこの場合、夫のみ」
そう、欧米では結婚すれば家族というものは一番に配偶者なのだ。
万起男さんは苦悩する。そこに妻の両親も加えてやれないだろうかと。
そんな想いをよそに当の千秋さんは
「もらった結婚指輪はしっかり紐につけて首から下げてるからね~大丈夫よ~」と満面の笑み。
万起男さんは心の底で突っ込むのだった….
「指輪を無くさない一番の方法は指にはめることだよ!」と。

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