「モンテ・クリスト伯」 アレクサンドル・デュマ(著)
ああっ、伯爵様!…..
あれがかの有名なモンテ・クリスト伯爵よ!
行く先々で名前を囁かれる謎の人物、それがモンテ・クリスト伯爵。
下の名前を聞かれれば、
「私の両親はうっかり者でしてね、私に名前を付けるのを忘れたのです」とうそぶく。
人前では決して食べ物を口にしない。
ミステリアスな暗い眼差しをこちらに向け
上品な物言いの奥に潜む得体の知れなさよ。
これぞフランス文学史に残る、陰のあるイケメン№1…..
物語の始まりで美しい娘、メルセデスとの結婚を控えた船乗りのダンテスは
客死した船長から手紙を託って帰ってきていた。
その手紙に目を付けた、ダンテスを妬む男二人は嘘の密告をし、
検事代理の男もまた保身のためにダンテスを沖合に浮かぶ牢獄・イフ城に投獄してしまう。
それから時は経ち、パリの上流階級に颯爽と現れた富豪モンテ・クリスト伯爵は、
かつて三人の男達が無実の罪を着せて投獄させた、船乗りのエドモン・ダンテスその人だった…..
そうとは知らない三人に巨万の富を駆使して伯爵が
無数の蜘蛛の糸のように策略を張り巡らせて追い込んでいく様が圧巻の超大作だ。
一番の見どころは伯爵の用意周到さだろう。
どこまで根回し、口添え、先回りすれば気が済むんだ!
悪魔のように出来過ぎてアルセーヌ・ルパンもかすんでしまうほど。
ページ数が気にならないくらい兎にも角にも大スペクタクルなのだ。
ハリウッド映画が束でかかっても太刀打ち出来るか怪しい、と言っても大げさではあるまいよ….
なにせこの伯爵がスマート且つ憂いを帯びたジェントルマンっぷりで
揺りかごから墓場まで、乙女心を鷲摑み!
背筋の凍る復讐劇にハラハラし、一個の巨大エメラルドをくり抜いたピルケースを使う伯爵に度肝を抜かれ、
まことに忙しい一冊なので、往年の少女漫画が好きな人には絶対満足頂けると思う。
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